DANJIの「手しごと」に込めた想い
職人の町・西陣のとある賑やかな一角に建つ、
築年数不詳の京町家。
そこを自分たちの手でリノベーションし、アトリエにして、
DANJI Manual Crafts & Brot はオープンしました。
“Manual”は、もともとラテン語で「手」を意味する
”manus”からくる言葉。
金槌や鋸、愛着ある道具を握る、たしかな手応え、
全粒粉やライ麦のパン生地を捏ねる、粘りある手触り。
敬愛する先達たちから手ほどきを受け、
ここにある技術と魂、
仲間たちと手に手をとってつくりあげたアトリエ・・・、
「手」の「ぬくもり」を大切にしてこその「手しごと」。
DANJIが届けたいのは、
人の手のぬくもりから生まれる「モノ」です。
モルタルをこねる手も、壁土をこねる手も、
パン生地をこねる手も、
すべて同じ心でなされる手しごとです。
![](https://danji.works/wp-content/uploads/2021/04/danji-front01-1024x767.jpg)
“Manual”は、“Automatic”の対言葉でもあります。
いまや、人もモノも、あらゆるものが、オートマチックに、
速く、新しく、流れ過ぎてしまう世の中。
どれだけたくさんの商品に触れても、
心に残る「モノ」は多くはない。
でも、そんなあり方に、皆がどこか引っかかりを覚えて、
立ち止まろうとしているのも、今ではないでしょうか。
古くから残っているモノには、
昔ながらの豊かな時間が留まり、発酵し、
新たな味わいを醸し出しています。
DANJIは、古く使われなくなったモノでも、
そのモノのもつ時を愛でて、新たな命を吹き込み、
蘇らせたい。
錆びた馬蹄釘を、軒の庇の留め金に、
お茶席で使われた手炙りを、手洗いの水受けに、
羊毛を土壁に入れて断熱材に・・・。
DANJIのアトリエには、こうした古いモノたちが、
そこかしこに新たな姿をとって生きています。
素材も、身の回りにおいて美しく、やさしい、
天然のものを。
壁につかわれた土、そこに眠る藁、
屋根に葺いた趣ある石たち、
戸や柱を彩る、さまざまな表情をした樹々。
先々にはこの大地に心地よく還ってゆくものを
選んでいます。
住居を支え護る鉄や木、生活を癒やす土と水、
パンを育む火や酵母、
自然界とのつながりを愛でる場としてDANJIはありたい。
ここで生み出される「プロダクト」についても、
一つ一つの材料、一つ一つの工程、一つ一つの出逢いに
想いを凝らして、
使ってくださる方々の喜ぶ顔を思い描きながら、
モノづくりをしています。
DANJIがあるのは昔ながらの職人の町、西陣。
その賑やかな一角に、老若男女、地方国籍を問わず、
さまざまな人々が生活の袖を触れ合わせて、
日々をともに楽しみながら暮らしています。
むかしの集落では、生活に何か不便あれば、
その土地の鍛冶屋や大工が、心安く相談にのり、
その人の手にあった道具を拵えたり、住まいを直したり
していたと云います。
DANJIも、人と人との温度ある結びのなかで、
そのようなモノづくりする職人でありたいと思っています。
![](https://danji.works/wp-content/uploads/2021/04/kasugai.png)
「かすがい」、
鉄と木、土とパン、植物と鉱物、機織り機と石臼、
互いに異質なものを取り合わせてつなぐ、美しさ。
様々な人と人、人とモノとがつながり合う、
日々のささやかで心安い、喜びの場になればと願います。